患者等搬送事業とは?

患者等搬送

ここでは、患者等搬送事業について解説します。
患者等搬送事業は、緊急性の低い傷病者や身体の不自由な方などを、医療機関や福祉施設などへ搬送するサービスです。救急車とは異なり、緊急性の低い場合に利用されるため、事前の予約が必要となることが一般的です。

1. 患者等搬送事業の目的と役割

  • 目的: 緊急性の低い傷病者や身体の不自由な方の移動手段を確保し、医療や福祉サービスの利用を支援すること。

  • 役割:

    • 救急車の適正利用を促進する(緊急性の高い事案に救急車を集中させる)。 * 高齢者や障がい者など、公共交通機関の利用が困難な方の移動をサポートする。

    • 退院時や転院時など、医療機関から自宅や他の施設への移動を支援する。

    • 通院や入退院時の負担を軽減する。

2. 患者等搬送事業の種類

患者等搬送事業は、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 民間救急: 民間の事業者が行う搬送サービス。

    • 国土交通省の許可を受けた「一般乗用旅客自動車運送事業(患者等輸送限定)」として運営される。

    • 介護タクシーや福祉タクシーなど、様々な名称で呼ばれることもある。

    • 搬送車両には、ストレッチャーや酸素吸入器などの医療機器が搭載されている場合がある。

    • 搬送には、介護資格や救命講習を受けた乗務員が同乗する。

  • 消防機関による患者等搬送: 消防機関が、救急車以外の車両を使用して行う搬送サービス。

    • 消防法に基づき、各消防本部が実施する。

    • 緊急性の低い場合に、救急車の代替として利用される。

    • 搬送車両には、救急隊員が同乗する。

3. 利用対象者

患者等搬送事業の利用対象者は、一般的に以下の条件に該当する方です。

  • 緊急性の低い傷病者

  • 身体の不自由な方(高齢者、障がい者など)

  • 通院、入退院、転院などで移動手段を必要とする方

  • その他、患者等搬送事業者が必要と認めた方

ただし、具体的な利用条件は、各事業者や消防本部によって異なる場合があります。

4. 利用方法

  • 民間救急:

    • 事前に患者等搬送事業者に連絡し、予約を行う。

    • 搬送日時、場所、利用目的などを伝える。

    • 料金やサービス内容について確認する。

  • 消防機関による患者等搬送:

    • 各消防本部に問い合わせる。

    • 利用条件や手続きについて確認する。

    • 必要に応じて、医師の診断書や紹介状などを提出する。

5. 料金

  • 民間救急:

    • 搬送距離や時間、サービス内容などによって料金が異なる。

    • 一般的には、タクシー料金に加えて、介助料や医療機器使用料などが加算される。

    • 事業者によって料金体系が異なるため、事前に確認することが重要。

  • 消防機関による患者等搬送:

    • 原則として無料。

    • ただし、一部の消防本部では、有料となる場合がある。

6. 注意点

  • 患者等搬送事業は、緊急性の低い場合に利用するサービスです。

  • 緊急性の高い場合は、迷わず119番に電話し、救急車を要請してください。

  • 患者等搬送事業者は、医療行為を行うことはできません。

  • 搬送中の容態悪化など、緊急時には救急車を要請する場合があります。

  • 各事業者や消防本部によって、サービス内容や料金が異なるため、事前に確認することが重要です。

7. 患者等搬送乗務員について

患者等搬送乗務員は、患者等搬送に使用する車両に同乗し、搬送業務を行う人のことです。患者さんの安全・安心を確保するために、以下の知識やスキルが求められます。

  • 必要な資格・講習:

    • 患者等搬送事業者は、乗務員に対して、患者搬送に関する知識や技術を習得させるための教育訓練を実施する義務があります。

    • 具体的には、応急手当(心肺蘇生法、AEDの使用法など)、感染症対策、搬送技術、接遇マナーなどに関する講習を受講する必要があります。

    • 事業によっては、介護職員初任者研修や、普通救命講習などの資格取得を推奨または必須としている場合があります。

  • 業務内容:

    • 患者さんの状態観察(バイタルチェックなど)

    • 搬送中の安全確保

    • 医療機関や施設との連携

    • 家族への状況説明

    • 車内清掃・消毒

  • 求められるスキル:

    • コミュニケーション能力

    • 観察力

    • 判断力

    • 応急処置の知識・技術

    • 運転技術

8. 今後の展望

高齢化の進展に伴い、患者等搬送事業のニーズはますます高まると予想されます。今後は、以下のような発展が期待されます。

  • サービスの多様化:

    • 通院介助、買い物代行、付き添いサービスなど、搬送以外のサービスを充実させる。

    • ICTを活用した、オンライン診療との連携や、遠隔モニタリングの導入。

  • 地域連携の強化:

    • 医療機関、福祉施設、地域包括支援センターなどとの連携を強化し、地域全体で高齢者や障がい者をサポートする体制を構築する。

  • 人材育成の推進:

    • 患者等搬送乗務員の専門性を高めるための研修制度を充実させる。

    • 医療・介護に関する知識やスキルを持つ人材を育成する。

まとめ

患者等搬送事業は、緊急性の低い傷病者や身体の不自由な方の移動をサポートする重要なサービスです。適切な利用により、救急車の適正利用を促進し、医療や福祉サービスの利用を支援することができます。

より詳細な情報や最新の情報については、各患者等搬送事業者や消防本部のウェブサイトをご確認ください。